終戦から63年ぶりに元日本兵、上野石之助さんが帰国した。元日本兵と聞くと、南方と思っていた自分にとって、ウクライナから帰国というのは「何でまた」と思ったものだ。考えてみれば当時樺太は日本領土だったわけで、不思議でもなんでもないのだが、昭和28年生まれの自分でさえ、もうそんな感覚を持つのである。
僕らが18歳の頃に、「戦争を知らない子どもたち」というフォークソングが流行した。歌っていたのは当時ジローズを結成していた杉田次郎である。「戦争が終わって僕らは生まれた、戦争を知らずに僕らは育った」という歌詞は、いわゆる団塊の世代や、それに続く僕らポスト団塊世代の心をつかんだ。
あれから35年。今の若者達は、日本がアメリカと戦争をしたことさえ知らない、という世代である。僕らが「戦争を知らない子ども達」と、ちょっと斜に構えて自分たちを呼んだのは、「戦争」があったという事実を認識していたからこそであった。戦争どころか「平和しか知らない子ども達」である今の若者は上野さんの帰還をなんと思うのだろうか。
投稿者 tuesday : 2006年04月23日 |