古賀政男から美空ひばりまで昭和歌謡の名曲を慰問演奏。音楽ボランティアグループ“おもひでチューズデー”


































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童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(45) 野口雨情、男の意地


女に金を取られてしまい、僅かしか持っていない雨情さんは、荒涼たる北の果ての町、コルサコフの町で仕事を探します。泊まっていた宿の主人が、仕事の斡旋をしていたようで、雨情さんは宿の主人に金になる良い仕事がないか尋ねてみたのですが・・・・・。


「あんた、どこから来たね?」
「茨城から来たでやんす。関東でやんす」
その主人は、色白で小柄な体つきの雨情さんを足元から顔までジロッと撫で回すように見ると、
「あんたには力仕事は向かんね」と素っ気無く言った。
「こちらに来る途中で、金を取られたでやんす」
宿の主人は、宿帳を見ながら、
「あんたは字がうまい。帳場を手伝ってくれ」そう言うと、主人は宿帳を閉じて雨情さんの顔を覗き込んだ。
「はあ」


雨情さんは、金になる仕事が欲しかった。帳場の手伝いでは、金儲けはできない。こんな処まで来て、帳場の仕事ではと思うと、力が抜けそうだった。
「ここまで来たでやんす。何かやらねばいけないでやんす。男の意地が廃るでやんす。頑張るでやんす」
気を取り直す雨情さん。宿の窓から見る樺太コルサコフの町は、荒涼とはしていたが、6月の初夏の僅かな緑と北の海と空の明るさが雨情さんの心を慰めた。



投稿者 tuesday : 2007年03月31日


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