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童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(62) 早稲田詩社への誘い!

前回において、もりちゃんは明治40年(1907年)前後の日本の近代化における精神状況を語りましたが、野口雨情さんは、そのような状況の中で、その年の夏に北海道行きを決意したのであります。


実は、雨情さんは、その年の春に、早稲田出身の相馬御風さん(1883-1950)、三木露風さん(1889-1964)、人見東明さん(1883-1974)たちから、一緒に詩作グループを結成しようと持ちかけられています。後に童話作家で有名になる小川未明さん(1882-1961)が、雨情さんの詩集「朝花夜花」を読んでいて、人見東明さんに雨情さんを紹介したのであります。結成のねらいは、特に人生や社会の暗い面や醜悪な面を詩の題材に取り上げて、その生活における感情を直接的に詩に歌い上げるという自然主義に立脚した新しい詩のジャンルを切り拓こうというものであったようですな。もともとは、英国やドイツに留学して心理学的美学を学んで帰国したばかりの島村抱月先生(1871-1918)から「『ラファエル前派』のような詩作グループを結成したらどうか」とアドバイスを受けたことが発端であったようです。


「『ラファエル前派』って何だっぺ?いきなり『ラファエル前派』って言われでも分んねえべー」
雨情さんは、一人寂しく詩作に耽っていたところに突然訪ねてきた人見東明さんと小川未明さんの顔を見て訊いた。
「英国で美学を学んで来られた抱月先生から相馬御風君が聞いた話だが、英国の美術界では若者が新しい動きを巻き起こしているらしい。ロンドン・アカデミーの付属美術学校のロゼッティ、ハント、ミレイという学生たちが、授業でのルネサンス時代の古典主義偏重の芸術教育に嫌気がさして、ルネサンスを代表する古典主義の完成者であるラファエロよりも前の中世や初期のルネサンス時代の芸術を学ぶべきだということを提唱し、彼らは絵描き、彫刻家、批評家、詩人として活躍して、英国だけでなく欧州に一大ブームを巻き起こしたという」
「へえーっ!それは大したもんだ。すごいだっぺ。ところで、それがわすにどう関係するの?」
人見東明さんと小川未明さんは、呆れたようにお互い顔を見合せて、雨情さんに説明を始めた。


「へえーっ!それは、すごい話だっぺ。これまでの古い風潮を打破して自然主義を極めで、人生の自然に偽りのねえ想いを直接的に表現する?ほう、それは素晴らしいだっぺ。自己中心の声を歌い上げる詩を作るのですが?みんなで切磋琢磨しで詩作に励む。へえーっ?すごいだっぺ。えっ、名前は『早稲田詩社』?とでもよかっぺ」
「雨情君!是非参加してくれ給え」人見東明さんは雨情さんに参加を促した。
「実は、わすは、逍遥先生に、新聞記者の仕事を探しでもらっていで、どうやら北海道の新聞社をあだってもらってるどごろでやんす。しばらぐ、東京には居ねえごどになるみてえだ。まあ、しばしば上京するづもりだし、永くは勤めねえづもりだがら。参加は北海道にいてもできるっぺ」


雨情さんは、一応「早稲田詩社」に参加し、雑誌「早稲田文学」に作品を発表するようになります。雨情さんは、北海道へ行くまでの数ヶ月間、「早稲田文学」だけでなく、「太陽」「文庫」「文章世界」等の雑誌にも発表の舞台を拡大しています。自分の作品の発表の場が整いつつあったにもかかわらず、雨情さんは北海道に行ってしまうのです。


雨情さんが北海道に出発するところから語りましょう!お楽しみに!




投稿者 tuesday : 2007年06月23日


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