古賀政男から美空ひばりまで昭和歌謡の名曲を慰問演奏。音楽ボランティアグループ“おもひでチューズデー”


































メンバーズブログTOPへ > morichan > 童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(64) 野口雨情、「津軽海峡・夏景色」でやんす!


童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(64) 野口雨情、「津軽海峡・夏景色」でやんす!

雨情さんは、青森から青函連絡船(注1)に乗って函館経由で札幌に向かいました。青森までは、「この道は、いつか来た道」(「この道」(注2)作詞:北原白秋、作曲:山田耕筰、唄:藤原義江、コロムビアレコード、昭和3年・1928年)ですな。雨情さんの脳裏に、青森の波止場での苦い経験が浮かんだに違いありませんな。「あの女はどうしたっぺ?」雨情さんは伊東山華社長と待合室で連絡船を待っている間、女と自分の二人分の弁当を買って女の待っている待合室に戻ってきて、女が逃げたことが分かるまで、待合室の中を探し回わり、弁当を下げて茫然と立ち尽くす哀れな自分の姿を、待合室にいる大勢の人の中に見ていたかもしれません。「情けないでやんす」雨情さんの呟きが聴こえてきそうですな。


樺太に向かった時は、青森から樺太への直行便だったようですが、今回は先程も申し上げましたとおり、青函連絡船で函館に向かっています。青函連絡船というと、津軽海峡でありまして、昭和歌謡ファンとしては何と言っても「津軽海峡・冬景色」(作詞:阿久悠、作編曲:三木たかし、唄:石川さゆり、コロムビアレコード、昭和52年1月発売)の世界を思い出してしまいますな。何かしら切ない感じが漂いますなあ。


でも、雨情さんの場合と石川さゆりさんの場合とでは、「♪上野発の夜行列車♪、♪おーりた時」のシチュエーションが違いますな。まず季節が違いますな。石川さゆりの場合は「♪青森駅は雪の中♪」で冬でありますが、雨情さんの場合は夏であります。それと、石川さゆりの場合は、失恋して北海道に帰る女性の話でありますが、雨情さんは新聞記者として人生の新しい境地を拓く男の話であります。ただ、見知らぬ人が指差す竜飛岬を雨情さんも眺めていたかもしれませんが・・・・。


「津軽海峡・冬景色」は、昭和52年(1977年)に50万枚を売り上げた昭和歌謡の名曲のひとつであります。偶然かもしれませんが、ちょうど70年前(明治40年・1907年)に雨情さんは、津軽海峡を渡ったのであります。


またまた、余談ではありますが、歌謡曲は、特に演歌は、作詞家先生が詞を書いてから、それに作曲家先生が曲を付けるパターンが多いと思っておられませんか?古賀政男大先生も「いい作詞をみた瞬間、詞に負けない曲を作ってやろうと、直感的に作曲意欲がわいてくるのよ」と、「詞が先で曲が後」を前提にしたかのように作詞家の石本美由起さん(美空ひばりの名曲「悲しい酒」の作詞者)に語っておられます。ところが、この「津軽海峡・冬景色」は、曲が先に出来、後で阿久悠さんが詞を付けたと言われています。それにしても、「何かしら切ない感じが漂う」とてもよい詞になっています。流石ですな、阿久悠さん!


ただし、阿久悠さんは、作曲家の三木たかしさんに(「恋のハレルヤ」「夕月」「霧のかなたに」「雲にのりたい」で有名な歌手:黛じゅんのお兄さん)に、タイトルは「津軽海峡・冬景色」で、最後は「ああ♪津軽海峡冬景色♪」で終わるように伝えていたということであります。曲が先で三連符のメロディとなっていたので、演歌お決まりの五七調にならずに、三三調(?)の詞になっているのですな。そこが「津軽海峡・冬景色」の単なる演歌ではない良さに繋がっているのだと、もりちゃんは着目しております。


次回は、雨情さんの話に戻って、札幌に着いて新聞記者として活動を始める雨情さんについて、もりちゃんは語ります。どうぞ、お楽しみに!


(注1)「青函連絡船」について
 文中に雨情さんが「青函連絡船に乗って」と書いていますが、よく調べてみますと「青函連絡船」とは明治41年(1908年)3月7日に帝国鉄道庁(旧国鉄)が航行を開始した鉄道との連絡船のことで、雨情さんが利用したのはその前年の明治40年(1907年)でありまして、その当時は「青函航路」と言われ、日本郵船や共同運輸などが運航していました。念のため申し添えておきます。


(注2)「この道」について
 この曲は、上野から青森への道を歌ったものではなく、偶然にも雨情さんがこれから向かうことになる北海道の札幌の時計台やアカシアなどの風物を歌い上げています。



投稿者 tuesday : 2007年07月08日


トラックバック


このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kayou.org/cgi/mt/mt-tb.cgi/256

★【 熱意ブログランキング 】★12 NPO・ボランティア にほんブログ村 音楽ブログへ ブログランキング

BS blog Ranking  【ブログ探検隊】人気ランキング