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童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(77) 啄木さんの小説「雲は天才である」


雨情さんと啄木さんは、梅干し茶漬けを食べながら、小説の話をしています。
啄木さんはお茶漬けを啜るように食べながら言いました。
「私は、課外活動をやりながら、小説も書いていました」
雨情さんもお茶漬けを啜るように食べながら、
「そうでやんすか?」と相槌を打ちました。
「去年の6月の農繁期に2週間、学校が休みになったので、東京に行って、夏目漱石先生や島崎藤村先生の小説を読み漁りました。すっごく刺激を受けました。すっごく、あっ、失礼!」
啄木さんは、飛ばしたごはん粒を拾いながら、話を続けます。
「夏目先生は、驚くべき文才を持っておられる。島崎先生も、今度出された『破戒』は、今までの小説とは違い群を抜いておられる。お二人は、すごい才能の持ち主だ」
「へぇーっ、そうでやんすか?わすは、あまり小説を読まないので、わからないでやんすが、世間では、そのお二人は、それはそれは偉大な方だという評判でやんす」と言い終わると、雨情さんは茶漬けを音を立てて啜りました。
「いや」と言うと、啄木さんは表情を硬くして続けました。「私は、そのお二人は才能がおありだが、偉大だとは思っておりません」
「えっ?」雨情さんは思わず啄木さんの顔を見ました。
啄木さんは、お茶碗とお箸を置くと、口の中のものをゴクリと飲み込んでから、落ち着きを払って話し始めます。
「彼らには、世を動かそうという革命の気概がないのです!」啄木さんは、そう言うと、ちゃぶ台を拳骨で叩きました。
雨情さんは、驚いた様子で、お茶漬けを啜るのを止め、啄木さんの話を聴こうと、何も言わず、待ちました。
啄木さんは、眉間に皺を寄せながら、思いつめた様子で、語り始めました。
「私は、夏目先生や島崎先生では書けない小説、革命の小説を書こうと思いました。教育革命をテーマにした小説を書き始めたのです」啄木さんの拳は強く握ったままちゃぶ台の上にありました。
「教育革命の小説?でやんすか?」雨情さんは、おそるおそる尋ねました。
「そうです。私が主人公の小説です。課外活動に力を入れている先生が、子供たちと一緒に、旧態依然とした校長と闘う物語です。革命の物語です。小説の題名は『雲は天才である』と付けました!」
「そりゃ、ていへんな物語でやんすね」
「フランス革命をも思わせる革命です!子供たちに「自主」と「博愛」と「自由」の歌を唄わせて、ジャコバン党よろしくジャコビン党を結成させるのであります。子供たちと唄う歌とは、こんな歌です」
と言って、啄木さんは、箸を右手に持って、拍子をとりながら唄い出しました。
「♪『自主』の~ぉ、剣を右手に~ぃ、持ち~ぃ、♪左手に~ぃ、翳す~ぅ、『愛』の旗~ぁ、♪『自由』の~ぉ、駒に跨がりて~ぇ、進む~ぅ、理想の路す~が~ら~ぁ♪」
雨情さんは、呆気に取られて、ただただ啄木さんを眺めるばかりでありました。まだ朝が早いというのに、雨情さんの下宿部屋に、勇ましい啄木さんの大きな唄い声が響いていました。ありゃまぁですな。


この続きは、次回に!



投稿者 tuesday : 2007年10月28日


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