古賀政男から美空ひばりまで昭和歌謡の名曲を慰問演奏。音楽ボランティアグループ“おもひでチューズデー”


































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童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(95) 雨情さんのホンマの話?(1)

雨情さんと啄木さんが、毎夜、豚汁を啜りながら語り合っていた頃、雨情さんの奥さんひろさんは、北茨城から雨情さんを追いかけて、幼い長男を背負いながら、連絡船に乗って函館に着き、札幌まで来ていたのであります。奥さんのひろさん、夫が妻と子供を北茨城に置いて、北海道でどんな生活をしているのか、と思うと居ても立ってもおられず、妻の執念と言いますか、札幌までやって来たのであります。


10月8日、雨情さんは、札幌から電報を受け取ります。ひろさんが病気だというので、雨情さんは慌てて札幌に飛んで行ったのであります。


翌日、啄木さんは、新聞社を代表して小樽商業会議所の新築落成式に参加しました。折詰料理を手土産にもらって家に帰って来たところに、雨情さんが札幌から戻って来ました。ひろさんの身体の具合は大したことなかったようでありますな。二人は、折詰料理を仲良く一緒に食べています。


その夜、雨情さんはまた啄木さんを訪ねています。雨情さんは、しょっちゅう啄木さんの住まいを訪れていたのですな。啄木さんのところには、札幌の北門新聞社で啄木さんの後任となった巨漢の園田氏が昨日から赤いリンゴを手土産に持って来ていました。三人は、そのリンゴを食べながら、いろいろと話したのでありました。


「リンゴでやんすか?リンゴには裏切られだづれえ(辛い)思い出があるでやんす」
雨情さんはお盆に盛られたリンゴを眺めて言いました。
「どうぞ、1つどうですか?召し上がってくださいよ。園田君のお土産です。いい香りがするでしょう?」
啄木さんは、雨情さんにリンゴを勧めました。
「雨情さん、どうぞ」
園田さんも、雨情さんに勧めました。
「そうでやんすか?では、1つ」
雨情さんは、1つリンゴを取ると、袖で軽くリンゴを擦って、真っ赤な輝きを確認するように顔に近づけ、そして香りを嗅ぎました。
「とでもよい香りだっぺ」
雨情さんは、にこり微笑むと、大きな口を開けてリンゴを頬張りました。
「どうです?うまいでしょ」
啄木さんが、そう聞くと、雨情さんは
「美味、美味、でやんす」
と上機嫌でありました。




投稿者 tuesday : 2008年08月06日


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