古賀政男から美空ひばりまで昭和歌謡の名曲を慰問演奏。音楽ボランティアグループ“おもひでチューズデー”


































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童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(102) 雨情さんの陰謀が発覚?!啄木さん、激怒!(3)

啄木さんは雨情さんにかなりご立腹であった様子が伝わってきますな。「彼は其悪詩を持ちて先輩の間に手を擦り、其助けによりて多少の名を贏(かち)得たる文壇の奸児なりき」とか「野口は愈々悪むべし」とか、とにかく啄木さんは、雨情さんを相当非難しております。啄木さんは、金子さんが齎した情報をもとに、雨情さんの様子を見て、怪しいか否かを何度も確かめようとしたのでしょう。ところが、雨情さんの素っ惚けた風貌が、生来のものではなく「策士」として映り、我慢ならず激怒したようですな。啄木さんは18日の日記にこう書いています。


<この日早朝事務の窪田、畑山の二君に起さる。出社して終日雑務を執る。
午後野口君他の諸君に伴はれて来り謝罪したり。(後略)>


まるで犯人が警官に連行されるように、雨情さんは、佐田さん、西村さん、金子さんらに小突かれながら、啄木さんの処に連れられてきました。
啄木さんは、椅子から立ち上がって、雨情さんの顔の前に向って指を差しました。
「雨情さん、あなたという人は、ひどい人だ!」
雨情さんは、おどおどして、
「すまないでやんす!」
頭を低くして、ただただ謝るばかりです。


「あなたは、僕らと岩泉主筆とを接触させずに、間に入って、自分だけうまい汁を吸おうとしたでしょ!僕には、岩泉主筆に対してに『石川君を三面から二面への担当にしろ!』って待遇改善要求をしておいたよ、なんて言っておきながら、あなたは僕らを上手く使って、岩泉主筆を排斥させ、あなたは主筆の席を狙い獲ろうという魂胆だったのでしょ!仲間を出汁に使うなんて!あなたは、策士だ、非人間だ!」
啄木さんは、捲し立てる様に、きつい言葉を雨情さんに浴びせました。
「ごめんなせえ。すまねえです。そんなつもりは、ねえです。申し訳ねえです。許しでぐだせえ、お願いでやんす」
雨情さんは、ただただ頭を低くして、何度も何度もペコペコとお辞儀をして、小さくなっていました。


「あなたの心は腐っている!あなたなんか『詩人』を名乗る資格はない!」
啄木さんは、肩で息を吸って、かなり興奮していました。
「申し訳ねえです。許しでぐだせえ」
雨情さんは、床に膝をついて土下座をして、啄木さんに許しを請いました。その姿は、あまりにもみすぼらしく、哀れでした。佐田さん、西村さん、金子さんらをはじめ、新聞社の職場の人たちは、突っ立って見下ろしている啄木さんとその足元で土下座して丸くなっている雨情さんを取り囲むように見ていました。


啄木さんは、さっきの日記の続きを、こう書いています。


<その状(じょう)愍(あわれ)むに堪へたり、許すことにす。>



投稿者 tuesday : 2008年10月19日


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