古賀政男から美空ひばりまで昭和歌謡の名曲を慰問演奏。音楽ボランティアグループ“おもひでチューズデー”


































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童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(107) またもや、小樽日報社内で事件発生!(1)

啄木さんは、12月11日に札幌にいる小国露堂さんのところへ行っていて、翌12日の夕方にボタ雪が降り始めた小樽に戻り、新聞社に立ち寄っています。ここで、またもや事件が起こるのであります。


啄木さんは社に戻り、頭や肩に着いた雪を振り落としながら編集室に入ると、小林寅吉事務長が、まだ残っていました。
「お疲れ様です」
と啄木さんが言うと、寅吉事務長は持っていたペンを机に置きました。そして、啄木さんの方に体を向け、
「石川君、君はどこへ行っていたんだ?」
と訊きました。
「札幌です」
「何のために札幌に行っていたのですか?」
寅吉事務長は立ち上がって、啄木さんに近寄ってきました。
「何のためって・・・・?」
啄木さんは口籠っていると、寅吉事務長は腕組みをしながら眉間に皺を寄せて
「取材ですか?どんなネタを追っているのですか?」
と訊きました。
「まだ、話せません」
「札幌で誰と会っていたのですか?」
「誰って・・・・」
啄木さんは困った様子で、しばらく黙っていました。
ストーブの上で薬缶から湯気がゆらゆらと上がっています。
「石川君、君は中西とかいう代議士が出そうとしている新聞社の情報を得ようとしているようですな」
「(えっ?)」啄木さんは、驚きを顔に表しました。
「石川君、君は先月よりたびたび無断で社を休んでいる。噂によると札幌に行っているようだ。もう当社が厭になったのですか?新しい新聞社に行きたいのですか?」
「・・・・・・・」
啄木さんは、マフラーを強く握りしめ、黙って立っていました。
寅吉事務長は、啄木さんの真ん前に立って、声を強めて言いました。
「君には、給料を上げて野口君に代わって三面の責任者をお願いしている。しかし、無断欠勤はするし、給料の前借りはするし、勤務態度がなっていない。他の者に示しがつかない」
「・・・・・・・」
啄木さんは依然俯いて黙ったままです。
「私は、君のお姉さんの旦那さん、つまり先日まで小樽駅の駅長をしていた山本さんの下で助役をやってました。その頃から、君の噂は聴いていましたよ。『困った義理の弟がいる』とね。岩手の学校では騒動を起こしたというし、村を追われたというし、土井晩翠先生から金を騙し取ったというし・・・・」
啄木さんは、顔を上げて寅吉事務長を鋭い眼差しで見詰め、
「・・・事務長、そっ、そんなこと、あなたには関係ないことでしょ!」
と大声で言いました。
「何を言うか!関係ないことはない!そんなことをしていた君は、野口君を責めたではないか!」寅吉事務長の顔が急に沸騰したように赤くなっていました。
「岩泉江東やあなたが、この社を駄目にしている。そんなあなたに、とやかく言われたくない!あなたなんかがいるから、この新聞が売れないんだ!」
啄木さんも負けていません。
「何を言うか!この若造!」
と言い切るや否や、寅吉事務長は啄木さんの頬を拳骨で殴っていました。



投稿者 tuesday : 2009年01月18日


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