古賀政男から美空ひばりまで昭和歌謡の名曲を慰問演奏。音楽ボランティアグループ“おもひでチューズデー”


































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「波浮の港」が流行した昭和3年とは? その⑯ 「暗夜行路」自己の絶対化

もりちゃんは、昭和歌謡を語るために、日本近代文学を語っております。昭和歌謡は日本近代文学に繋がるのか知らん?繋がりますとも!


さて、前回からの続きであります。夏目漱石は「他者」を意識したテーマの作品を多く残しています。「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」という名文句が象徴しております。彼は晩年に「われは常住日夜共に生存競争裏に立つ悪戦の人である」と「思ひ出す事など」で書いております。「自分で自由に生活することなんぞできない。何故なら、そこにはいつも他人がいるからだ」ということであります。


昭和3年には、志賀直哉(1883-1971)の「暗夜行路」の後編が雑誌「改造」6月号から連載されています。(「行路」ですぞ、「航路」だと、平成元年(1989年)に都はるみがプロデュースしたキム・ヨンジャのヒット曲「暗夜航路」作詞:吉岡治、作曲:弦哲也になってしまいますよ!歌謡曲通はこだわります!)この小説の主人公である時任謙作は、自由に放浪の旅をして自由奔放に生き、「他者」を抹殺して「自己」を絶対化した人物として描かれていました。これだと神経衰弱にならないですな。昭和2年の芥川龍之介と昭和3年の志賀直哉では、生き方がまったく違いますな。日本近代文学および昭和の精神史を語るうえで、この時代の境目は大変貴重ではありますまいか!


いやはや、もりちゃんは昭和歌謡を語るべくして、文学論を展開してしまいました!勉強になるでしょ!



投稿者 tuesday : 2006年05月20日


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