先週末、相次いで報じられた山の遭難事故。その中にまさか知り合いがいるなんて、思いもかけないことが起こるものです。八ヶ岳で凍傷のため動きがとれず凍死してしまった3人の中に、「子ども劇場」の活動仲間が含まれていました。高校生と中学生、2人のお嬢さんとパパを残して…。
ヌボーッとした風貌の中に繊細な心を宿していたMさんは、傷つくことも多かったはずなのに、いつも周りの人を気遣って3枚目を演じていました。ちょっと鼻にかかった優しい声が、今も「ヤスコサンは、こんなときどうしてた?」と語りかけてきます。ゆっくりでいいんだと、身体中で表現しているような人でした。大好きな山で死ねたのは幸せだったと思わなくちゃいけないでしょうか?まだ45才だったのですよ。
たくさんの人と関る仕事やボランティアをやってきて、その一人ひとりと交わした言葉、思い、視線を大切に心に刻み、語りかけることができる喜びを実感します。Mさんのことで、疎遠になっていた人たちが、一瞬顔を合わせました。思い出をたぐり寄せながら、それぞれが自らの人生を振り返ります。死んでいく人は、残る者たちにこういうひとときをくれるのだと、一人で納得しつつ、帰りは肌寒い夜桜の並木道を数人で歩きました。花に宿る神様が、悲しみを静かに昇華させてくれるかのようでした。Iくんの時のように、ここから何かが始まるかもしれません。明日、しっかりお別れをしてきます。
投稿者 tuesday : 2006年03月26日 |