大正元年(1912年)9月13日は、明治天皇の御大葬の日でありました。その日の朝、乃木さんとその奥さんの静子さんご夫婦は、自宅の玄関前でご一緒に清楚な姿でこの世で最後の写真を取っておられます。
うつし世を神去りましし大君のみあとしたひて我はゆくなり
神あがりあがりましぬる大君のみあとはるかにをろがみまつる 臣希典上
出でましてかへります日のなしときくけふの御幸に逢ふぞかなしき 希典妻静子上
お二人の辞世の歌であります。乃木さんは64歳、奥さんは54歳でありました。前日の晩に、乃木さんは奥さんに遺言を示し「自害するので、後を頼む」と伝えました。すると、奥さんから「わたくしもお供します」という思いがけない言葉が返ってきたらしいのであります。これは、もりちゃんだけの想像ではありませんぞ!遺書には「細事は静子へ申し付け置き候間、御相談くだされたく候」と記されているからであります。二人の息子さんを亡くされているからということもありましょうが、静子さんって、良い奥さんですなあ!こういう時、うちの奥さんも付いて来てくれるのかなあ?
「パパさん、何言うてますねん。水臭いやないですか。うちはあんたはんに惚れて結婚したんですえ。うちのこと分かってはらしませんのやなあ。長いこと連れ添ってきた仲やないの。」(この感じは、都はるみ・岡千秋のヒット曲「浪花恋しぐれ」のセリフみたい!)「パパさん、うちはあんたはんのことはよくわかってるつもりです。そやから、そやから、何があっても絶対に、絶対に、付いて行きまへんで!厭やもん!ホンマに厭やもん!堪忍してな!わたしはこれから自由に生きさせていただきますよってに。ほな、さいなら」ありゃまあ、でございますな。
*「浪花恋しぐれ」(作詞:たかたかし、作曲:岡千秋、歌:都はるみ・岡千秋、コロムビアレコード、昭和58年)
乃木さんのお話は、まだ続きますよ!次回をお楽しみに!
投稿者 tuesday : 2006年12月17日 |