古賀政男から美空ひばりまで昭和歌謡の名曲を慰問演奏。音楽ボランティアグループ“おもひでチューズデー”


































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童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(54) 乃木大将との会話 ②


「まあ、お掛けなさい」と乃木大将は、にこやかに笑いながら、雨情さんに着座を促した。
「はっ」雨情さんは、ぎこちなく、おそるおそる坐った。乃木大将は、雨情さんの向かいに坐ると、
「茨城から来たというが、茨城の何処か?」と聞いた。
「北茨城の磯原でやんす。海と山が、とでも綺麗な所でやんす」
「そうか。君の夢は何か?」
「詩人になりだぐで、頑張ってます、でやんす」
「どこの学校だ?」
「坪内逍遥先生の東京専門学校でやんす。」雨情さん、中退したとは言えなかった。
「詩を書くことが好きなのか。わしも、好きだ。わしは、漢詩が好きだ」
「自然や風土を、そしでそごに住む人々の生活を詩で表現したぐで・・・・・」
「そうか、君は国風をやるのか」
「この間、樺太まで行ってぎました」
「遠いところまで行ったのだなあ。どうだった?」
「はあ、北の果てでやんした・・・・。歩いて歩いて国境線まで行ったでやんす」樺太で買い占めたリンゴが腐ってしまって大損をしたという件が脳裏を掠めたが、乃木大将には、そのような情けない話はできる筈もなかった。
「今までにない詩を作ろうど思っているでやんす。乃木大将様は、立派な漢詩や和歌をお作りになられるんで、是非お会いしでぐで、突然お邪魔しました、でやんす。」
「そうかそうか」乃木大将は、満足そうに笑みを浮かべながら、「しっかり、頑張るように」と仰った。
「頑張ります、でやんす」雨情さんは、乃木大将の顔をあこがれをもって見詰めながら言った。
「私は、これから出掛けるので、時間がなくて済まない。よく来てくれた」乃木大将は、そう言うと立ち上がって、雨情さんに握手の手を差し伸べた。
「ありがどうごぜえました」雨情さんは、乃木大将の温かい手を握りながら、深々とお辞儀をした。


「さすがだ。さすが、乃木大将様だ。ご立派なお人だ。天皇陛下様が、学習院の院長に御指名される筈だ。いやあ、大したお方だ」


雨情さん、さぞかし嬉しかったでありましょうな。乃木坂をホクホクと下って帰る雨情さんの姿が浮かぶようです。



投稿者 tuesday : 2007年05月04日


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