古賀政男から美空ひばりまで昭和歌謡の名曲を慰問演奏。音楽ボランティアグループ“おもひでチューズデー”


































メンバーズブログTOPへ > morichan > 童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(68) 石川啄木の高笑い!


童謡、民謡、そして昭和歌謡への流れ(68) 石川啄木の高笑い!

雨情さんが洗面所から戻ると、石川啄木さんはタバコを吹かして座っていました。
「お待たせしたでやんす」と雨情さんが言うと、
「タバコを頂戴しました」と啄木さんは笑みを浮かべて指に挟んだタバコをちょっと掲げて雨情さんに示し、それからゆっくりと美味しそうに一口吸い込んだ。
「どうぞどうぞ、ご遠慮なく」雨情さんは、そう言いながら腰を下ろした。
「昨日の夕方からタバコがなくて困っていました」と言って、啄木さんは軽い会釈をして美味しそうに吸っています。
「タバコ屋が開いていながったんですが?」
「いやーっ、たばこ屋は開いていましたが、タバコを買う金が無くてね。はっはっはっ、お恥ずかしい次第です、はっはっはっ」
啄木さんは大きく笑いながら、またタバコを口にし、そして、ゆっくりと煙を吐きました。その煙が啄木さんの息とともに広がって雨情さんの顔に当たりました。人の吸ったタバコの煙は、喫煙家にとっても厭なものであります。
「そうでやんすか・・・・」と雨情さんは煙の向こうの啄木さんの笑みを浮かべた横顔を見つめながら不安そうに言いました。タバコの煙が漂う二人の間にしばらく沈黙が流れていました。雨情さんは、落ち着かない雰囲気の中で早朝の客人を眺めているしかなかったようでありますな。


そこへ下宿の女中さんが「野口さん、朝ご飯はどうしますか?」と言って現れました。
「啄木さん、朝ごはん、まだだっぺ?」と雨情さんは少し雰囲気が変わったのを幸いと感じつつ訊きました。
「はっはっはっ、まだです。腹ぺこで困っていました。はっはっはっ」啄木さんは、手に持ったタバコを灰皿に遣り、タバコの先の灰を整えながら笑って答えました。
「そんれでは、二人分、おねげえ出来るでやんすか?」雨情さんは女中さんに頭を下げながら注文しました。
「はっはっはっ、すみませんね」啄木さんは、そう言うとタバコを大きく吸い込みました。雨情さんは呆れて啄木さんの銜えたタバコの先が赤く光るのをただ眺めているだけでした。


「啄木さん、あなだは何をしに来たっぺ?」雨情さんは、そう聴きたいのですが・・・・。この続きは次回に!



投稿者 tuesday : 2007年09月02日


トラックバック


このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kayou.org/cgi/mt/mt-tb.cgi/275

★【 熱意ブログランキング 】★12 NPO・ボランティア にほんブログ村 音楽ブログへ ブログランキング

BS blog Ranking  【ブログ探検隊】人気ランキング